エルートに通った方の体験談(保護者様からの声)⑥(中学生Y.Mさん)

中学生Y.Mさんの体験談

エルートに通ったご家庭の体験 ー 保護者様の声を公開します。

実際に通った方からの体験談をぜひご覧になってください。

エルートに通う前のお子様やご家庭の状況

小5の夏休み明けに、頭痛や腹痛の体調不良を訴えた娘は、学校を連日欠席しました。なかなか体調は改善せず、毎朝「今日はどう?学校行けそう?」と問いかける日々、娘の表情は暗く沈んでいました。あまりにつらそうな姿に、「明日明後日は休むと決めよう、そしたら5連休になるよ」と提案したところ、娘の顔が明るくなり体調も良くなりました。その時初めて、「この体調不良は、“学校に行きたくない”気持ちが原因だ」と気付きました。

家では普通に過ごしていても、学校の話題になると表情が曇り、頭痛や腹痛で辛くなり…心にも体にも“学校に行くこと”への拒否反応が出て、とても学校には行けない状態でした。小学校では運動会の練習が佳境に入っており、娘とも相談して「運動会後にクラスに戻るように頑張ろう」と決めました。

そこからは、学校に戻るために親子で手探りの日々でした。運動会の練習を隠れて遠くから見学したり、「学校の雰囲気に慣れよう」と昼休みの図書室で過ごしたり…“学校通っている子どもたち”を怖がり、そこにいるだけで辛そうな娘の様子に戸惑いながらも、たびたび学校に足を運びました。そのように日々を過ごす中で、5年生の終わりには、離任する担任の先生に手紙を渡すために半年ぶりに教室に入ることができ、「少しだけど前に進めた、きっと6年生は今よりもっと学校に近付ける」と思いました。そして迎えた新学年、「知らない担任の先生、知らない教室、知らないクラスメイト」を前にして、娘は「こわい、不安だ」という気持ちの大波に飲み込まれ、学校からすっかり心が離れてしまいました。

「小学校最後の1年間を“学校に行けない私”で過ごすより、新しい居場所を探して新しい繋がりの中で過ごす方が、娘にとって良いのでは」と感じ、フリースクールを探し始めました。

エルートを知ったきっかけと入学を決めた理由

娘が学校に行けなくなった段階で、フリースクールの情報は集めていましたが、身近にフリースクール利用者もおらず、「そちらの道に進むと、ますます学校に戻れなくなるのでは」という不安があり、一歩が踏み出せませんでした。しかし、6年生になり学校への拒否反応が更に強くなった娘を見て、「娘にとって学校はもう“自分の居場所”ではない。娘が自分らしく過ごせる場所が必要だ」と親も腹を括りました。

「自宅から比較的近く、送迎の負担が少ない」「いずれ自転車や公共交通機関を使って、一人で通うことができる」「いろんなイベントがあって面白そう」という理由から、最初に親子で見学に行ったのがエルートでした。

見学に伺った際に、教頭の末田先生がお子さんを抱っこ紐で抱っこして、生徒さん達とワイワイ過ごしているのを見て「なんて自由な場所なんだ」と驚きました。

お話をしてくれた西浦校長は、初めての場所に怯える娘に穏やかに話しかけて、娘が昆虫好きであることがわかると「エルートにも虫が好きなお兄さんがいるから、一緒にいっぱい虫取りに行こう」と笑顔で誘ってくれました。

3回あった体験日には、えひめ森林公園に虫取りに行ったり、猫カフェに行ったり、海に行ったり、たくさんの楽しい経験をし、娘から「エルートに通ってみたい」という言葉が出て、とても嬉しかったのを覚えています。

通い始めてからの変化(お子様・ご家庭双方)

初めは、週に数回短時間からスタートし、徐々にエルートで過ごす時間が増え、毎日通えるようになりました。帰りの車内で、今日の活動の様子や友達とのエピソードを話してくれて、娘から“友達”の名前が出るようになったことを、本当に嬉しく思います。

ただ、いつも問題なく通えている訳ではなく、何かのきっかけで不安が膨らんで「エルートに行けない」と訴える日もあります。そんな時は、親の立場から「私はこう思う」という形で思いを伝えはしますが、最後は娘本人が自分で考えて、どうするか決めてもらうよう心がけています。

娘も、ただ不安に飲み込まれるのではなく、「登校して、辛くなったら早めに帰る」「今日は休んで気持ちをリセットして、また明日から登校する」など、自分の状態と向き合って、自分の意志で気持ちを切替られることが増え、心の成長を感じています。
娘本人に「エルートに通い始めて、自分がこう変わったなという所はある?」と聞いたところ、「よく笑うようになったと思う、エルートでみんなとあちこち行って、外に出かけることが楽しくなった。」と話してくれました。一時期は周囲の人や環境に怯える様子を見せていた娘が、エルートの友達や先生と、あちこち出掛けてたくさんの経験を重ねる姿はとても頼もしく、心強く思っています。
娘だけでなく親である私や夫も、大きく変わりました。娘がエルートにお世話になるまでは、「娘のため」と必死で考え行動していたつもりでも、「学校に行くのが当たり前」の世界しか知らなかった私たち親は、気付かないうちに娘を傷つけ、追い詰めてしまっていたように思います。しかし、娘がエルートに通い始め、西浦校長をはじめ先生方とお話ししたり、エルートに通う子どもたちの姿を見ることで、私たち親も「自由とは何か」「学びとは何か」そして「娘の力を信じて、任せて見守ることの大切さ」を考え、理解しようと話し合うようになりました。親である私たちが変わっていけたのは、個人懇談や日々のやり取りを通して、親にも負けない熱量で娘のことを深く考え、温かく支えてくださる先生方の熱い思いを感じたから。娘が学校に行けなくなって、親も孤独の中でもがいていましたが、今はエルートのユニークな先生方と一緒に、娘の成長を見守っています。自分だけの道を進む娘に「面白い世界を見せてくれてありがとう」と感謝して、彼女が人生をめいっぱい楽しめるよう応援したいと思っています。

エルートへの今後の期待やメッセージ

エルートの先生方は、皆さん本当に素敵な方ばかりで、何よりエルートに通う子どもたちひとりひとりにとって何が最適かを本気で考え、行動してくれていると感じています。親だからこそ見過ごしてしまうような子どもの良いところにもしっかりと目を向け、子どもの可能性を親以上に信じてくれていると感じます。
そうした先生方の信頼を受けて、子どもたちはエルートを安心して過ごせる居場所として捉え、自信を取り戻していくのではないかと思います。
エルートにおいては引き続きそうした子どもたちの成長のサポートに尽くしていただくとともに、学校教育では得難い貴重な体験を、数ある活動を通じて、子どもたちに提供していただきたいと思います。また、我々家族の良き理解者、あるいは指導者として、相談に乗っていただきたいと思います。

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